検査のはなし

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   先週に続き、めまいの原因を確かめる検査について紹介します。

   重心動揺検査」は計器の上に足をそろえて立ってもらい、目を開けて1分間、目を閉じて1分間、重心の動きを電気的に記録します。そのパターンによって耳の鳴りの異常から起こる末梢性めまいか、脳、脳神経から起こる中枢性めまいかを推測していきます。治療によってめまいやふらつきがどの程度改善されたか調べる際にも役立ちます。

   目の動きを電気的に記録するのは「眼振運動検査」。眼の周りに電極を貼って大きな箱の中をのぞいてもらい、赤い点が左右上下に動くのを目で追ってもらいます。通常、末梢性めまいは、注視をすると眼振がとまることが多いのですが、特定の位置の注視で眼振が起こることもあります。

   左右に動く白い丸を目でしっかりと追ってもらう「指標追跡検査」もあります。目の動きによって、曲線が滑らかだったり、ギザギザになったりします。ギザギザの波形の場合は、小脳や中枢疾患を疑います。同様に左右に赤い点が飛ぶのを見てもらう検査もあります。

いずれも目の揺れだけでなく、眼球の動きがスムーズかどうかも大切です。

(日本臨床検査技師会 町田幸雄)


2009 年 8 月 12 日 by admin

 

   目の前がぐるぐる回る、頭がフワっとする、立ちくらみがするなど、めまいにはいろいろな症状があります。突然襲ってくることが多く、不安になる人も少なくありません。

   めまいの原因には、主に  ►平衡感覚の異常 ►脳の障害 ►生活習慣の乱れ  ►過度のストレスや心の病などがあります。病院の耳鼻科を受診すると「いつ起こったか」「どのようなめまいか」「どのくらい続いたのか」などを尋ねられることと思います。次に、原因を推定し、検査を選択することになります。

   めまいの原因の多くは、内耳やその神経由来のものが多いのですが、一部には大脳小脳頚椎が原因で起こるめまいもあり、きちんと原因を見つけるための検査が必要となるのです。

   問診の後は、採血、耳のエックス線撮影、聴力検査、重心動揺検査などが行なわれます。多くの場合、最初に行われるのが聴力検査で、メニエール病など難聴を伴う疾患を調べる目的です。

   メニエール病は難聴、耳鳴り、めまいが反復して現れる病気です。特に低い音を聞き取りにくい低音障害型難聴が特徴です。その他の検査についても次回後紹介していきます。

(日本臨床検査技師会 町田幸雄)


2009 年 8 月 12 日 by admin

   今回はリウマチの症状を判定、把握するための検査の話です。リウマチの確定診断がなされ、抗リウマチ剤などを用いた治療が開始されると、その薬剤の効果を知るための血液検査が欠かせません。

 一般に、リウマチの炎症の活動性を知る指標の代表は、古くから行われている「赤血球沈降速度測定(血沈)」です。これは炎症の全身状態を見るのに現在でも都合のよい検査です。また「C反応性タンパク(CRP)」も指標として定着しています。

 CRPの数値は、局部の関節の炎症でも鋭敏に数値が動くことが知られています。この二種類の検査で活動性を評価する医師が多いようです。

 また近年よく使われるようになったSAA(血清アミロイドAタンパク)は先の二つの検査よりも使用薬剤の影響を受けず評価することができます。同様にMMP3(マトリックスメタロプロテアーゼ3)は、炎症関節の破壊具合と数値が相関して動くため定期的に測定することに意義があります。

   しかし、どの項目もリウマチ以外の感染症などでも上昇します。血液検査を受ける際には、最近の1~2週間の体調を医師に説明しておくことも大切です。

(日本臨床衛生検査技師会 土居修)


2009 年 8 月 12 日 by admin

 

   関節リウマチ(RA)という病気は、これまで症状が進まないと確定診断がつかない場合がよくありました。早く分かれば進行を食い止められる可能性も高く、患者さんの利点も大きいわけです。そのための新しい臨床検査として「抗CCP抗体」「CARF」という項目を測定するようになってきました。

   先週に紹介した「リウマトイド因子」は、この病気以外の方からも多く検出されるという問題がありますが、「抗CCP抗体」や「CARF」は、陽性ならかなり高い確率でRAであるか、あるいは将来RAに進むことが考えられます。健康保険の適用にもなっています。ただし、陰性であってもRAでないとは断定できません。

   症状の面から調べる検査としては、MRI(核磁気共鳴画像撮影)や超音波も用いられるようになりました。これは、手指関節をよりていねいに撮影することにより、関節中の滑膜という部分のわずかな増殖を観察し、早期のRAを見逃すことなく診断につなげるものです。

   このように医師が触診や問診と臨床検査を組み合わせることで、より早期に確定診断し治療を開始することが可能になってきました。

日本臨床衛生検査技師会 土居修)


2009 年 8 月 12 日 by admin

 

   中高年の女性に多い関節リウマチは、免疫の異常から発症する病気で、全身の関節に炎症が起こり、進行すると痛みや変形を引き起こします。

   この病気を早期発見するために、健診の血液検査で「リウマトイド因子」という項目があります。今回は、誤解されやすいこの因子について説明しましょう。

   リウマトイド因子が陽性だと、自覚症状がなくてもリウマチになったと思い込んで不安になる方がいます。しかし、陽性と確定診断とは違います。

 この病気の臨床検査には「診断を確定するための補助検査」と「病状を判定、把握するための検査」があり、リウマトイド因子は補助検査の項目です。ただし、リウマトイド因子は、免疫グロブリンのひとつであるIgGに対する自己抗体で、感染症や慢性肝臓病の患者さん、一部の健康な高齢者、妊婦さんにもこの抗体は存在します。

 最初にリウマチ患者から発見された抗体なので、別名「リウマチ因子」としてイメージが独り歩きしましたが、現実には、リウマチ患者さんの二割は陰性なのです。

 リウマチは、症状や他の検査を組み合わせて専門医が診断する病気です。リウマトイド因子の検査は、疑いのある人をふるい分けする手段の一つと考えてください。

(日本臨床衛生検査技師会 土居修)


2009 年 8 月 12 日 by admin

 

 輸血は、同じ型の血液で行われることが原則です。しかし、緊急時には他の血液型が使われる場合もあります。A型やB型はAB型の人に輸血することができますし、O型はすべての型に輸血できます。

 アメリカの救急救命室を描いたドラマ「ER」では、緊急輸血の際に「O型Rhマイナス」がよく使われているのにお気づきでしょうか。

  先週に紹介したように赤血球の膜には、AまたはBの型物質が付いており、何も付いていないのがO型なので、O型はどの血液型とも合うのです。また「Rh」は赤血球の細胞の表面に「D抗原」と呼ばれるものがあるとプラス、ないとマイナスになります。Rhプラスの血液をマイナスの人に輸血すると血液中に抗体ができて問題を起こす場合がありますが、Rhマイナスの血液をプラスの人に輸血しても問題はありません。 アメリカではO型の人が45%を占め、Rhマイナスも約17%(日本は0・5%)と多いので、だれにも適合する「O型Rhマイナス」が使われるわけです。

  日本では、緊急時は「O型Rhプラス」がよく使われます。このため、O型の輸血用血液が慢性的に不足になるようです。

(日本臨床衛生検査技師会 及川雅寛)


2009 年 8 月 10 日 by admin

 現在の医療において輸血はなくてはならない治療法のひとつです。事故などで大量出血した患者さんを救命したり、手術時の出血に対応したり、貧血の治療にと、広範囲に使われています。この輸血において重要なのは、赤血球の血液型です。ABO式およびRh式で分類されています。

 血液型は、赤血球の膜に付いている「型物質」によって決まります。型物質には、AとBの二種類があり、Aの型物質が付いている血液は「A型」。Bの型物質が付いていれば「B型」、AとB両方付いていれば「AB型」。どちらも付いていないと「O型」になるのです。

 この血液型は1900年、オーストリアのカール・ラントシュタイナーによって発見されました。血液には三種類のタイプがあることが分かり、当初は「A型、B型、C型」とされましたが、その後、現在のABO式に変更されました。

 そして、同じ血液型の血液を使えば輸血が安全に行えることが分かり、原則的に同じ血液型を輸血するようになりました。また、輸血する血液の赤血球と患者さんの血漿を混合させ、凝集が起こらないことを確認するなど、安全性を確かめる検査も行われています。

(日本臨床衛生検査技師会 及川雅寛)


2009 年 8 月 10 日 by admin


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