検査のはなし

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 結核は昔の病気と思われがちですが、日本で昨年1年間に新たに結核患者として登録された人の数は24,760人。およそ5000人に1人がかかっているのが現状です。

 検査には、主に喀痰を用います。最初に行われるのは、抗酸菌の有無を確認するための塗抹検査です。抗酸菌とは、結核菌を含む抗酸性の性質を持つ菌の仲間のことです。

 この検査は、スライドグラスに喀痰を塗り付けて、抗酸菌だけが染まる染色を施し、顕微鏡で観察します。

 抗酸菌が見られた場合、それが結核菌かどうか確定するために遺伝子検査を行います。それによって結核の診断が付けば、菌を培養して増やします。結核菌は1回の細胞分裂に約15時間かかります。これは大腸菌の細胞分裂と比べると約50倍の長さです。

 結核菌の培養には約1カ月を要し、入院加療が長期にわたる理由の一つになっています。培養した結核菌は、治療薬が有効かどうかを調べる薬剤感受性検査に使われます。

 塗抹検査が陰性化して、人にうつす危険性が低いと判断されると患者さんは退院となります。このように結核は診断、治療のさまざまな局面で検査が重要な役割を果たします。

(日本臨床衛生検査技師会 小栗孝志)


2009 年 10 月 26 日 by admin

 

   最近、検査相談室を設ける病院を見かけるようになりました。

   医師は限られた時間内に多くの患者さんを診察し、説明を速やかに行わなければならない状況にあります。問診や触診、検査結果から患者さんの病状を説明するのに大半の時間を費やしています。

 そのため、一つ一つの検査項目について説明する時間は短くなる傾向にあり、たとえば「これガンの有無を調べる検査ですよ」といった程度で済んでしまいがちです。

 その結果、「説明を受けたけれどよく分からない」という不満を持ったまま帰られる患者さんが増えてきました。

   そこで、こうした不満を解消するために検査相談室が求められ、検査の専門家である臨床検査技師がお答えしています。

   ある病院では主治医からもらった検査結果表を持って、患者さんが相談室に来られます。そして臨床検査技師が「これは肝臓の機能をみるための項目ですよ」「腎臓の機能を見るための項目ですよ」などと個々の説明を行っています。

 その結果、「医師が依頼する検査の意味がよくわかった」など多くのご意見が寄せられ、好評を得ています。検査について分からないことがあればお気軽に利用してください。

(日本臨床衛生検査技師会 湯浅宗一)


2009 年 10 月 26 日 by admin

 

 狭心症は、心臓の筋肉(心筋)に酸素を供給している冠動脈の異常により、胸痛発作や胸部圧迫感の症状が出る病気です。冠動脈の動脈硬化やけいれんによって、血流が悪くなることで起こります。

 運動しているときに発作を起こす労作型狭心症と、明け方の安静時に発作を起こす異型狭心症があり、ともに胸の締め付けられるような痛みが特徴です。発作は、短い人で数分、長い人では十数分続くこともあります。放置すると、心筋梗塞につながることもある病気です。

 この狭心症を調べるのは、心電図検査です。両手首・両足首と胸の6カ所に電極を装着し記録します。異常があれば波形に変化が起こり、診断の手助けとなります。

 心臓に負荷をかけて状態を調べる検査もあります。トレッドミル運動負荷試験は、電動式ベルトの上を歩き、心拍数を速くして検査します。労作型狭心症の診断に大きな役割を果たします。

 また、異型狭心症に有用なのはホルター心電図検査です。胸の4、5カ所に電極を装着し丸1日連続した心電図を記録するとともに、24時間の綿密な行動記録を付けてもらいます。行動と発作との関係をつかむための検査です。

日本臨床衛生検査技師会 長迫哲朗)


2009 年 10 月 15 日 by admin

 MRI(磁気共鳴画像装置による検査は、超音波検査と並んで、放射線を使用せずに体の隅々まで撮影できる検査です。多くの医療機関で使われています。

 MRIは大きな円筒の中に体を入れて撮影します。この円筒の中は、強い磁気があり、人体に外から電磁波が加わります。それによって、体内の水素原子がエネルギーを蓄えます(これを磁気共鳴現象と呼びます)。

 そして、電磁波を止めると、水素原子のエネルギーが放出されるので、それをコンピューターで解析し、画像に置き換えます。

 この原理を用いる事により体内の水分(水素原子)を含有しているほとんど臓器、骨、軟骨を画像化できます。組織によって水分量が違うため、コンピューターが画像としてコントラストを付け描き出せます。脳、筋肉、脂肪、関節内など軟部組織も鮮明に映し出すことができます。

 身体をあらゆる方向にスライスした画像が得られ、多くの撮影方法の中から疾患にあったものを選べることも大きな特徴です。造影剤を使用せずに血流を見ることができ、初期の脳梗塞の診断や、骨、筋肉、臓器の動きまで、身体のあらゆる部位が検査の対象となっています。

(日本臨床衛生検査技師会 土居修)


2009 年 10 月 14 日 by admin


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