脳や心臓や筋肉には「生体電位」というものがあります。心臓の電気的活動を記録したものが心電図で、脳の活動を記録したものが脳波です。
脳波は、脳から発生している数十マイクロボルトという微小な電位を、頭皮上につけた電極でキャッチし、百万倍くらいに増幅した波形です。検査には、頭部に21個の丸い皿電極をつけて、ベッドに休み、目をつむって安静の状態で脳波を記録します。
眠っているとき、深呼吸をするとき、閉じている目の前でストロボの光を点滅させたときなどの、軽度にしか出ない異常波を見つける検査もあります。
脳波は脳の発達の程度に応じて変化します。乳幼児から小児期では年齢による大きな差異があり、成人になると変化が少なくなります。成長や老化、認知症、薬物の脳への影響、脳血管障害、がん、てんかんなどの補助診断や、脳死判定などにも使われています。
歴史を振り返ってみますと、大脳皮質表面に電位活動があることは、19世紀末には発見されていましたが、実際に人の頭皮に電極をつけて脳波を記録したのは1924年のことです。
日本では、1936年に東北大学生理学教室が脳波の記録に最初に成功しています。
(日本臨床衛生検査技師会 谷口薫)
2009 年 9 月 24 日 by admin
人間の味覚には、甘味、塩味、酸味、苦味と日本で発見された「うま味」の五つがあります。味を感じるのは舌や口蓋などにある味蕾(味細胞)が味物質をとらえ脳神経に伝達するシステムです。
しかし、高齢化やライフスタイルの変化の中で味覚障害の患者さんも増えています。亜鉛の欠乏や全身疾患、心因性のもの、薬の多用など、原因はさまざまです。
検査は、ろ紙ディスク法と電気味覚検査法の二つがあります。ろ紙ディスク法では、精製白糖(甘味)、塩化ナトリウム(塩味)酒石酸(酸味)、塩酸キニーネ(苦味)を使い、これらの液を直径五ミリのろ紙に染み込ませ、味覚に関係する神経の感度を調べていきます。液の濃度を変えることで、どの味質に反応が悪いかが定量的に分かります。
電気味覚検査法は、電気味覚計を使い、それぞれの神経領域に弱い電流を流し、刺激のレベルを変化させ、味が感じ取れるかを調べます。この検査では、味質ごとの違いまでは分かりません。
口の中がいつも苦く感じる。味を薄く感じるなどの自覚症状があったら、医療機関で検査を受けることをお勧めします。
(日本臨床衛生検査技師会 才藤純一)
2009 年 9 月 24 日 by admin
めまいの原因を調べるために、めまいを誘発させる検査もあります。
「視運動性眼振検査」は、電車の窓から外を見るような感覚で、目の前を次々に通過する縦のしま模様を見つめてもらい、目の揺れの大きさや回数、速度を調べます。自分が回っているような錯覚を覚える検査です。しま模様を追い掛ける際のゆっくりした動き、目が元の位置に戻る際の速い動きを調べ、その左右差などを確認します。脳幹障害、小脳障害、中枢障害などがある場合は、目の動きの間隔や速度に異常が現れます。
耳の中に冷水や冷たい空気を入れて内耳を刺激するカロリックテスト(温度刺激検査)という検査もあります。外耳道が冷えて三半規管の機能が低下すると、三半規管が正常な場合にはめまいが起こります。めまいの程度が小さいか、まったくない場合は、機能に異常があるわけです。
一口にめまいといっても、その症状や原因はさまざまです。脳からのめまいが疑われる場合は、コンピューター断層撮影(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)を使うこともあります。突然やって来るめまいには、早期治療が有効なことが多いので、不安を感じたら早めに受診し検査することをお勧めします。
(日本臨床検査衛生技師会 町田幸雄)
2009 年 9 月 24 日 by admin