中高年の女性に多い関節リウマチは、免疫の異常から発症する病気で、全身の関節に炎症が起こり、進行すると痛みや変形を引き起こします。
この病気を早期発見するために、健診の血液検査で「リウマトイド因子」という項目があります。今回は、誤解されやすいこの因子について説明しましょう。
リウマトイド因子が陽性だと、自覚症状がなくてもリウマチになったと思い込んで不安になる方がいます。しかし、陽性と確定診断とは違います。
この病気の臨床検査には「診断を確定するための補助検査」と「病状を判定、把握するための検査」があり、リウマトイド因子は補助検査の項目です。ただし、リウマトイド因子は、免疫グロブリンのひとつであるIgGに対する自己抗体で、感染症や慢性肝臓病の患者さん、一部の健康な高齢者、妊婦さんにもこの抗体は存在します。
最初にリウマチ患者から発見された抗体なので、別名「リウマチ因子」としてイメージが独り歩きしましたが、現実には、リウマチ患者さんの二割は陰性なのです。
リウマチは、症状や他の検査を組み合わせて専門医が診断する病気です。リウマトイド因子の検査は、疑いのある人をふるい分けする手段の一つと考えてください。
(日本臨床衛生検査技師会 土居修)