輸血は、同じ型の血液で行われることが原則です。しかし、緊急時には他の血液型が使われる場合もあります。A型やB型はAB型の人に輸血することができますし、O型はすべての型に輸血できます。
アメリカの救急救命室を描いたドラマ「ER」では、緊急輸血の際に「O型Rhマイナス」がよく使われているのにお気づきでしょうか。
先週に紹介したように赤血球の膜には、AまたはBの型物質が付いており、何も付いていないのがO型なので、O型はどの血液型とも合うのです。また「Rh」は赤血球の細胞の表面に「D抗原」と呼ばれるものがあるとプラス、ないとマイナスになります。Rhプラスの血液をマイナスの人に輸血すると血液中に抗体ができて問題を起こす場合がありますが、Rhマイナスの血液をプラスの人に輸血しても問題はありません。 アメリカではO型の人が45%を占め、Rhマイナスも約17%(日本は0・5%)と多いので、だれにも適合する「O型Rhマイナス」が使われるわけです。
日本では、緊急時は「O型Rhプラス」がよく使われます。このため、O型の輸血用血液が慢性的に不足になるようです。
(日本臨床衛生検査技師会 及川雅寛)