検査のはなし

Blog archives

 大きな洗濯はさみのようなものを両手両足首に付け、胸には6個の吸盤ー健診でおなじみの心電図検査です。正確には「12誘導心電図」と呼ばれます。

 それぞれの電極から得られる波形は、その方向から見た心臓の状態を示しています。右手首の電極は、心臓の右上、左足は心臓の下部、胸の電極は心臓を取り囲むように配置します。過去の波形と比べることが大事で、電極の位置がずれることがないよう、肋骨などを基準に電極の位置が決まっています。

  心電図は、心臓関係では最も歴史の古い検査です。得られる情報量が豊富で苦痛もないことから、広く用いられています。人間が電気というものを意識したのが1600年ごろ。筋肉が電気刺激で動いているのを発見したのが1700年代後半、心臓にも電気が流れていると分かったのが1850年ごろといわれています。その微弱な電気信号を取り出し記録する心電図の原型ができたのが、100年ほど前になります。

 心電図は心臓を動かしている電気の状態を見る検査ですので、機械から電気が流れてくることはありません。緊張などで力が入ると、正確な状態を得られにくくなるので、リラックスした状態で受けましょう。

(日本臨床衛生検査技師会 百田浩志)



2009 年 11 月 4 日 by admin

「妊娠検査薬」という言葉を耳にしたことのある人は多いと思います。実際に何を検査するかというと、HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンを測定します。

 このホルモンは、つわりの原因とも言われ、妊娠3カ月でピークを迎え、後は緩やかに減っていきます。妊娠初期につわりが強くなり徐々に治まる傾向があるのも、このためです。HCGは妊娠を継続させるのに必要なホルモンで、妊娠していない人からはほとんど検出されません。

 市販の妊娠検査薬の感度は、着床してから5日目のホルモン分泌量に相当します。着床して「予定日に生理が来ない」と気づいた人は、すぐに検査をしても、陽性反応が出ることが多いですが、生理の周期がずれることもあるので予定日の7~10日後に検査をするのが良いといわれています。

 陽性になった場合、正常妊娠かどうかはこの検査では分からないので産婦人科で確定診断します。このHCGは、絨毛上皮がん胞状奇胎といった一部の悪性腫瘍の時にも産生されます。子宮外妊娠や悪性腫瘍だった場合は放置しておくと大変なことになるので、早めの受診をお勧めします。

(日本臨床衛生検査技師会 冨永博夫)



2009 年 11 月 4 日 by admin


Copyright © Japanese Association of Medical Technologists. All rights reserved.