人間の味覚には、甘味、塩味、酸味、苦味と日本で発見された「うま味」の五つがあります。味を感じるのは舌や口蓋などにある味蕾(味細胞)が味物質をとらえ脳神経に伝達するシステムです。
しかし、高齢化やライフスタイルの変化の中で味覚障害の患者さんも増えています。亜鉛の欠乏や全身疾患、心因性のもの、薬の多用など、原因はさまざまです。
検査は、ろ紙ディスク法と電気味覚検査法の二つがあります。ろ紙ディスク法では、精製白糖(甘味)、塩化ナトリウム(塩味)酒石酸(酸味)、塩酸キニーネ(苦味)を使い、これらの液を直径五ミリのろ紙に染み込ませ、味覚に関係する神経の感度を調べていきます。液の濃度を変えることで、どの味質に反応が悪いかが定量的に分かります。
電気味覚検査法は、電気味覚計を使い、それぞれの神経領域に弱い電流を流し、刺激のレベルを変化させ、味が感じ取れるかを調べます。この検査では、味質ごとの違いまでは分かりません。
口の中がいつも苦く感じる。味を薄く感じるなどの自覚症状があったら、医療機関で検査を受けることをお勧めします。
(日本臨床衛生検査技師会 才藤純一)