検査のはなし

 

 脳や心臓や筋肉には「生体電位」というものがあります。心臓の電気的活動を記録したものが心電図で、脳の活動を記録したものが脳波です。

 脳波は、脳から発生している数十マイクロボルトという微小な電位を、頭皮上につけた電極でキャッチし、百万倍くらいに増幅した波形です。検査には、頭部に21個の丸い皿電極をつけて、ベッドに休み、目をつむって安静の状態で脳波を記録します。

 眠っているとき、深呼吸をするとき、閉じている目の前でストロボの光を点滅させたときなどの、軽度にしか出ない異常波を見つける検査もあります。

  脳波は脳の発達の程度に応じて変化します。乳幼児から小児期では年齢による大きな差異があり、成人になると変化が少なくなります。成長や老化、認知症、薬物の脳への影響、脳血管障害、がん、てんかんなどの補助診断や、脳死判定などにも使われています。

  歴史を振り返ってみますと、大脳皮質表面に電位活動があることは、19世紀末には発見されていましたが、実際に人の頭皮に電極をつけて脳波を記録したのは1924年のことです。 

 日本では、1936年に東北大学生理学教室が脳波の記録に最初に成功しています。

(日本臨床衛生検査技師会 谷口薫)


2009 年 9 月 24 日 by admin


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