大きな洗濯はさみのようなものを両手両足首に付け、胸には6個の吸盤ー健診でおなじみの心電図検査です。正確には「12誘導心電図」と呼ばれます。
それぞれの電極から得られる波形は、その方向から見た心臓の状態を示しています。右手首の電極は、心臓の右上、左足は心臓の下部、胸の電極は心臓を取り囲むように配置します。過去の波形と比べることが大事で、電極の位置がずれることがないよう、肋骨などを基準に電極の位置が決まっています。
心電図は、心臓関係では最も歴史の古い検査です。得られる情報量が豊富で苦痛もないことから、広く用いられています。人間が電気というものを意識したのが1600年ごろ。筋肉が電気刺激で動いているのを発見したのが1700年代後半、心臓にも電気が流れていると分かったのが1850年ごろといわれています。その微弱な電気信号を取り出し記録する心電図の原型ができたのが、100年ほど前になります。
心電図は心臓を動かしている電気の状態を見る検査ですので、機械から電気が流れてくることはありません。緊張などで力が入ると、正確な状態を得られにくくなるので、リラックスした状態で受けましょう。
(日本臨床衛生検査技師会 百田浩志)