ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)という名前を聞いたことがありますか。
HPVには100種類以上の型があるとされ、このうち6型、11型などは尖圭コンジローマを引き起こすことで知られています。尖圭コンジローマとは、陰部などにいぼのようなものができる性感染症で、治療法は、薬物のほか外科手術があります。
近年、HPVの中に、子宮頸がんを引き起こす型があることが分かってきました。これらはハイリスク型のHPVと呼ばれ、特に16型、18型が20代、30代の患者さんから多く検出されます。
ハイリスクのHPVに感染したからといって、すべてががんになるわけではなく、多くの場合は一過性の感染でウイルスは体外へ排除されます。まれに、感染が長期にわたって続くと、そのごく一部が「前がん病変」の状態になります。約10年続くので、この状態で発見できれば、治療成績はとても良好です。細胞診でこの状態を検出することができるので、ぜひ子宮がん検診を受けてください。
子宮頸がん予防のために、HPVに対するワクチンも実用化され始めており、今後の予防効果に期待したいところです。
(日本臨床衛生検査技師会・坂本徳隆)