検査のはなし

 

 淋病(淋菌感染症)は、昔からよく聞く性感染症です。男性に多く、尿道の強い痛み、膿など、はっきりした症状が現れるため、発見・治療しやすいタイプの性感染症ですが、まだまだ減っておらず、むしろ若い人たちを中心に増加傾向あります。最近は淋病で受診した患者さんからエイズウィルスが見つかることもあります

 

 

 淋病の診断には、尿道や膣の分泌物を調べ、淋菌の存在を確かめます。この菌はとても弱く、感染している粘膜から離れると数時間で感染性を失うといわれています。菌の核酸(DNA)を調べる方法なら、男性の場合は尿検査だけで済み、菌が死んだ状態でも確認できます。合併しやすい性器クラミジア感染症を検査するのにも有効です。

 

 

 しかし、この方法では薬剤感受性試験ができません。最近は、抗生物質に耐性を持つ菌もいるため、菌を培養し、どのタイプの薬剤が菌の成育を阻害するかを試してみるのが薬剤感受性試験です。淋菌は温度差や乾燥に弱いため、私たち臨床検査技師は注意深く処理する必要があります。

 

 

 このように状況に応じた検査方法があります。気になったときは、どうぞ受診してみてください。

 

(日本臨床衛生検査技師会 坂本徳隆)


2010 年 2 月 25 日 by admin


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