血液型の抗原は400種類ほどあり、輸血の際に、すべての型が合う血液を用意することは困難です。このため、ABO式の血液型とRhのプラスマイナスについて合わせます。
これらの抗原が合わないと、血球の破壊などの重篤な副作用につながる可能性があるからです。それ以外の抗原の型は合っていないので、輸血によって抗体を産生することがあります。これを「不規則抗体」と言います。妊婦さんが出産する際に不規則抗体ができる場合もあります。
先週紹介したようなA型の人が持つ抗B抗体、B型の人が持つ抗A抗体などは、生まれつきある「自然抗体」。これに対し、後天的にできるのが不規則抗体です。
輸血する前に、事前にABO型、Rh式の検査とともに、不規則抗体の有無を調べる検査をします。そして不規則抗体が見つかれば、その患者さんの血液とドナーの血液を反応させる交差適合試験を行います。
試験で血球同士が凝集を起こさなかった場合、輸血OKとなるわけです。 最近では、コンピュータ上での交差適合試験(コンピューター・クロスマッチ)も普及し、検査の迅速化に役立っています。
(日本臨床衛生検査技師会・小栗孝志)