検査のはなし

 

   赤ちゃんが少し大きくなる妊娠12週ごろになると、妊婦さんの血液からさまざまなことを調べていきます。

 まず貧血の有無血小板数。妊娠すると生理的に血液が薄くなります。重い貧血状態になると、おなかの赤ちゃんに酸素がいきわたらなくなってしまいます。血小板数も少なくなると、出血しやすくなります。

 感染症検査も重要です。エイズにつながるHIV、梅毒などの性病や、C型肝炎ウイルス抗体、B型肝炎ウイルス抗原、成人T細胞白血病ウイルス抗体などについて調べます。万一、陽性だと赤ちゃんに感染する恐れがあり、対応が必要になります。

 また、安全に出産を行うためには、妊娠中から出産時の出血に備えて血液を確保する必要があり、それに備えて血液型不規則抗体(輸血時に通常と違う反応を引き起こす抗体)の有無を調べておきます。

 たとえば、Rhマイナスの血液型のお母さんがRhプラスの赤ちゃんを妊娠した場合、免疫反応によって溶血性貧血や黄疸が引き起こされることがあります。次の出産に影響が出る場合もあります。血液型や不規則抗体を知ることは、妊娠のさまざまなトラブルを防ぐうえで重要です。

 

(日本臨床衛生検査技師会 小栗孝志)  


2009 年 12 月 16 日 by admin


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