今回は、淡水魚を生で食べることによって感染する寄生虫について紹介します。
まず、サクラマス、カラフトマスなどサケ属の魚の筋肉には「日本海裂頭条虫」の幼虫(体長1、2センチ)が寄生していることがあります。これを生で食べると、小腸内で成虫になり、全長が5~10メートルにも達します。症状は、下痢、腹痛、腹部膨満感などで、個人差があります。
アユ、ウグイ、シラウオなどの魚には、体長0.15ミリほどの「横川吸虫」の幼虫が寄生していることがあります。成虫でも1.5ミリと小型で、少数の寄生なら症状はありませんが、多数寄生すると腹痛、下痢などを起こします。
コイやフナなど寄生する「肝吸虫」の幼虫は、成虫の体長が1、2センチ程度。肝臓内の胆管に寄生するために、肝障害などを起こします。これらは検便で診断します。
ドジョウ、ライギョ、ヤマメ、アマゴなどに寄生するのは「顎口虫」の幼虫(約3ミリ)。人間の体内では、幼虫のままで皮膚や皮下組織を移動し、炎症を起こします。
これらの感染を予防するには、生や不完全な加熱で魚を食べないことが大切です。
(日本臨床衛生検査技師会 山本徳栄)