寄生虫は私たちの身近に、たくさん存在しています。まずは、海産魚にひそむ寄生虫について紹介します。
サバ、スルメイカなど200種以上の魚には「アニサキス」の幼虫(体長2~3センチ)が寄生していることがあります。
刺し身と共にこの幼虫を摂取すると感染します。胃アニサキス症は、食後2~8時間程度で強い痛みを訴え、悪心、嘔吐を伴うことがあります。治療薬はないため、内視鏡で摘出します。
また、腸アニサキス症では腸閉塞、腸穿孔などと診断され、開腹手術を受けることがあります。感染を予防するには、氷点下20度以下で1日以上、冷凍します。
ホタルイカ、ハタハタ、タラなどの内臓には「旋尾線虫」の幼虫(体長4~8ミリ)が寄生していることがあります。とても細く肉眼で見つけることは困難です。幼虫が寄生したホタルイカなどを食べると、数時間から2日程度で激しい腹痛、嘔吐などを起こすことがあります。
1、2週間後に腹部の皮膚内に幼虫が現れると、強いかゆみを伴うミミズばれが起こります。それが不規則に移動することがあります。ホタルイカの内臓を生で食べる場合は、氷点下30度で4日間以上、冷凍することが大切です。
(日本臨床衛生検査技師会 山本徳栄)