食事の欧米化などによって大腸がんが著しく増えています。がんの死亡原因のうち大腸がんの割合は、男性で4位、女性では1位となっています。2日分の便を採取して調べる便潜血検査の重要性もますます高まっています。
もし、検査の結果が「陽性」だったら、どうすればいいでしょうか。
実は、早期のがんや形が平らながんでは、便潜血検査が陽性になることはあまり多くありません。陽性となるのは痔によるものがもっとも多く、ポリープや進行がんの場合がこれに続きます。
統計的には、検査実施者の5~7%が陽性で、その約半数からポリープが発見され、2~4%ががんであるとされています。ですから、陽性になっても悲観的になる必要はありませんが、大腸内視鏡などの精密検査を速やかに受けることが重要です。
逆に、陰性だったとしても安心はできません。進行がんの中でも、出血しないタイプもありますし、たまたま検査の時は出血していなかったという場合も考えられるからです。
大腸がんは45歳以上になると発症率が高まります。陰性であっても毎年、検査を受けることが大切です。もちろん自覚症状がある場合は、精密検査を積極的に受けましょう。
(日本臨床衛生検査技師会 小野 静)