検査のはなし

医学の検査は、いつごろから行われていたか、ご存じでしょうか。

呪術や魔術が主体だった古代の医療を廃して、病状の観察、触診、聴診によって病気を分類するようになったのは「医学の父」ヒポクラテスの功績です。

紀元前四世紀のギリシャで活躍したヒポクラテス学派は、尿の沈澱物を四体液の廃棄物として観察していました。四体液とは、血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁で、このバランスによって病気が引き起こされると、当時は考えられていたのです。これが臨床検査の源流と考えられています。

ヒポクラテス以後の医学は、病状の観察、触診、聴診によって病気を分類して、予後診断を重視して、病気と社会環境についても考えをめぐらすようになりました。古代ローマ時代には、脈診と尿検査法が確立され、中世以後の医師たちは尿瓶を光にかざしてその色や沈澱物の状態を調べ、一覧表にしたがって病名を診断したと言われています。

哲学的な「体液病理学」は、17世紀以降すたれ、臓器を中心とした病理学が発展していきますが、現代でも心の病気などは「体のバランス」で考える方が理解しやすい場合もあるようです。


2008 年 12 月 19 日 by admin


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