尿検査を受けたことがある方は多いでしょう。患者さんが痛い思いをせず、1回で十分な量を採取できるのが尿検査の利点です。この検査で何が分かるのか。まずは、歴史を振り返ってみましょう。
尿検査は、早くから病気の診断に利用され、紀元前400年ごろには、ギリシャの医師ヒポクラテスは、尿を肉眼で観察し、病気と関連付けていました。
11世紀ごろに活躍したペルシャの医師イスマル・ジュリアニは、色、濃さ、量、透明度、沈殿物、香り、泡の7種類の尿検査所見を記載し、検査機器を使用しない尿検査の基礎を確立しました。
19世紀には腎臓病学の父と言われたリチャード・ブライトが、尿中タンパク質の加熱凝固の性質を利用し、尿の定量化学分析の基礎を築きました。
尿は、全身をめぐる血液が腎臓でろ過されて作られます。1日に約1000リットルの血液が腎臓に流れ、このうち1~1.5リットルが尿管に流れて、膀胱にたまり、尿道を経て体外に排出されます。このため、尿は体の情報をたくさん含んでいます。体のどこかに異常があると、排出されるべきでないものが排出されることがあります。
腎臓や膀胱の異常だけでなく、肝臓の病気や糖尿病、がんなどを発見する手掛かりにもなるのです。