胃の粘膜に生息する細菌「ヘリコバクターピロリ」は、1983年にオーストラリアのロビン・ウォレンとバリー・マーシャルによって発見され、その後の研究で胃や十二指腸の潰瘍、萎縮性胃炎、胃がんなどの発生に深くかかわっていることが明らかになりました。
鞭毛を使って活発に動き、胃粘膜にいろいろな障害を与えます。 経口感染すると考えられていて、衛生環境がよくない発展途上国だと感染率が高くなります。日本では、良好な衛生環境の中で育った若年者の感染率は低く、高齢者は高くなっています。
ピロリ菌感染を調べる方法は、内視鏡(胃カメラ)で組織の一部を切り取り調べる検査と、内視鏡を使わない検査があります。
内視鏡を使う検査には①採取した組織を染色して顕微鏡で観察する「鏡検法」②組織を培養してピロリ菌が増えるかどうか調べる「培養法」③採取した組織を検査試薬内に入れ、検査薬の色の変化を確認する「迅速ウレアーゼ試験」|の3種類があります。このうち迅速ウレアーゼ試験は、通常20分ほどで判定できるうえ、従来の検査と匹敵する正確さが長所です。次回は、内視鏡を使わない検査について説明します。